職人
Artisan
職人の勘を頼りに
味わい深く
日本人の日常生活に寄り添う新しいカタチの塗り物。春慶塗の歴史を大切にしながら、現代の技法も融合させています。
各産地を巡って技法や特徴を見て学び、手彫り・手塗りの技で職人の魂を刻んだ美しい飛騨春慶をお届けしています。
伝統と美を生み出し続ける
「二人の匠」
Two Artisans Creating Tradition and Beauty Continuously.
飛騨春慶は、木材の自然な木目を活かしながら製品へと加工する“木地師”と、扱いの難しい天然の漆を美しく塗り上げる“塗師”の匠の技が融合した工芸品です。
木地師kijishi
道具作りから手作業
「鉋打ち(かんなうち)」
木材を削るノミ・カンナは、職人が一本一本自分で打って作ります。鉄を1200℃まで熱して叩き、刃先を曲げて腕の長さや削りたい角度に調整し、器の形に合わせて作成。鍛冶屋としての出来まで含めて木地師としての実力がはかられるのです。現在までに作ったノミは200本に及びます。
職人の試行錯誤が最後の調整
木によって癖や木目が違うため、木目の入り方やノミから伝わる手応え、角度、薄さ、持ち心地、削る音などによって最適な削り方を判断していきます。手作業だからこそ、木と対話するように細やかな調整が可能なのです。
豊富な飛騨の材木
土地面積の約90%が森林である飛騨高山。その豊富な資材を使い、木造建築や家具造りなど、江戸時代から様々な木工技術が受け継がれてきました。春慶塗の木地づくりもそんな匠の技の一つです。
木材から器になるまで2年
木材は水分を含んでいると削るときに割れてしまうため、野積みにして約2年もの長い期間自然乾燥させ、ようやく使えるようになります。
塗師nushi
漆の採取も手作業
原木から採れたままの状態の生漆(きうるし)を職人が自分の手で精製し春慶漆を作ります。
1本の木から採取できる漆はワンシーズンでコップ1杯ほど。漆の一滴一滴が宝なのです。
ムラなく手早く美しい手塗り
刷毛は日本に数人しかいない刷毛職人の手によるもの。漆は乾きやすいため、部屋の温度・湿度を考慮しつつ手際よく塗ることが塗師には求められます。手塗りだからこそ一つひとつが味わい深く、差が出にくいのも魅力です。
職人の腕が問われる漆作り
漆の艶は職人の腕により大きく変わります。漆は天然ものなので、その年の天候や季節によって粘度や乾き、伸びなどが毎回異なるのです。状態を見極めて漆を3種類ほど混ぜますが、この時に頼りになるのは職人の勘と経験だけと言えます。
塗りより神経を使う乾燥
漆を塗った後は乾燥の工程へと移ります。針葉樹で作られた湿度の高い乾燥風呂で数日間。
焦ると塗り上げた“漆が縮む”ため3工程に分け、じっくりと時間と手間をかけて漆を定着・硬化させていきます。