歴史

主に使用する木は、檜や椹、栃。木地の変形を防ぐため、十分に自然乾燥させていきます。加工するまでにかかる期間は2年以上にもなるのです。現在では、材料の入手難から米ヒバやクルミ、桂なども使用しています。

一枚の板から無駄が出ないよう、木の性質を見極めながら、木取りという作業を行います。そのためには、長年の経験と磨き上げた技が必要です。

ろくろ機で回転させながら、専用の刃物で削ります。一枚ずつ木目が異なるため目や耳で判断し、木と対話しながら美しく仕上げていきます。

従来は黄及び紅の染料を数回塗布し、漆が直接木地に染み込まないように下塗りをした後、生漆にえごま油を混ぜたものを摺り込み、木目を浮かび上がらせます。従来の方法では、現代の生活様式における乾燥などで製品が歪んだりします。そこで、当店ではウレタン塗料による木地閉めをすることで、木地の反りや歪みを防いでいます。

初夏から晩秋にかけて手作業で根気よく採取した3種類の漆を精製し、黒目漆に。手作りの刷毛で長年の勘を頼りに、埃やゴミがつかないようムラなく塗っていきます。その後、十分に乾燥させたら、ようやく完成です。